非現実的学生生活

「新羅、アンタあれ止めてきなさい」
「遠慮させて貰うよ。それより君の方が適任だろう?」
「なんで男のアンタよりも女の私が適任なのよ。あんなとこに割って入るなんて、私だって嫌に決まってんでしょ」

 『あれ』とか『あんなとこ』と称された先では、机やらロッカーが弧を描いて飛んでいる。そんなことが出来るのは、少なくともこの来神学園には一人しか居ないわけで。それらを投げ付けられながらも無事である相手なんてものも一人しか居ない。

平和島静雄と折原臨也。

 互いを天敵と認めている彼等は事あるごとに、こうして容赦無しの喧嘩をする。騒ぎの中心に居るのが誰かなんて分かり切っている為、真っ当な一般生徒は遠巻きに見ているだけ。こんなことを言ってしまうと、自分は一般生徒じゃないと認めることになるのだが。悲しいかな、現実とはどんなに非情なものであっても時に受け入れなければいけないのだ。思えば、入学式の時に臨也なんかの隣の席になってしまったことが不幸の始まりだった。今更嘆いたところで何も変わらないのは分かっている。繰り返し自問自答して、最早どうにもならないと諦めたからだ。

「あーそろそろまずいわね」
「そうだね。静雄は腕をかなり深く切ってるし、臨也の方は肋骨が数本折れてるかな」
「もう、警察も病院にもご厄介になりたくないわ」
「いよいよ君の出番というわけか」
「でも嫌。高校でアイツらと会った私よりもアンタの方が友達年数長いでしょ。体張って止めてきて、友達甲斐ってものを見せなさい」
「治療をするという点で僕は十分に友達甲斐を発揮しているさ。だからさ、此処は君が行くべきだよ」
「………っ行けば良いんでしょ、分かったわよ止めてくるわよ!!」

 結局新羅に言い負かされて、毎度こうして私が行く羽目になる。なんだかんだ言っても二人共友達なので、傷付く姿は見ていて気分が良いものではない。だから、仕方ないのだ、と言い聞かせてはいるけど。

「それでもあの間に割って入るのが嫌だと思うのは、人間の生存本能よね……」

正直自分でも生きているのが不思議だ。近くで見れば益々有り得ない光景なのだけれど、その分だけ彼等の怪我も分かってしまうから。

「静雄、臨也、良い加減にしなさい!!」


さぁ覚悟を決めて、今日も非現実とこんにちわ。


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