何度拒まれようとも、私は辞めない。
貴方に手を伸ばし続ける。
例えこの手が取られることは無いと分かっていても。
何度でも。
他者を拒む空気を纏い、この世界全てを憎む眼をしている。
それが貴方の全て。
でも、貴方自身気付いていないことがある。
時々、本当に時々だけれど、寂しそうな表情をしていることに。
無意識の内に浮かんでくる、奥底の感情。
それを見た時から私は、一つのことを決めた。
「またてめぇかよ」
私が話し掛ける度に、貴方は顔を顰める。
それでも言葉を返してくれるようになったのは、以前からの進歩。
最初は無言で顔を顰めるだけだったから。
「良い加減にしろ。何度も言うが、オレは誰かと馴れ合うつもりはねぇ」
お馴染みの言葉。
そして私の返答も何時も同じ。
『馴れ合いたいわけじゃない』
そう、仲良くしたいとか友達になりたいとかではない。
まして、恋人になりたいわけでもない。
ただ――
「話し掛けるなってオレは言ってんだよ」
それは出来ないことだよ。
だって私が話し掛けないと、貴方は自分の中に籠もってしまうから。
人が溢れるこの空間の中でさえ、独りになってしまう。
だから何と言われようとも、私は声を掛ける。
聞いていなくても良い。
顔を背ける貴方に私が一方的に話す。
それで十分。
「……勝手にしやがれ」
どんなに言おうとも、完全には拒もうとしない。
『二度と来るな』とでも言えば良いのに、それをしない。
私はそこに付け込んでいるのかもしれない。
拒まなければいけなのに、拒みきれない。
それは、貴方が微かであれ求めているから。
手に入れることは出来ないのかもしれない。
それでも求めずにはいられない。
相反する心。
貴方に言っても『心なんて無い』と言うだろうけど。
決して声に出して求めることはしない。
越えてはいけない一線、なのだと思う。
それを越えてしまったら、貴方の今までが無くなってしまう。
存在意義 そのものすらも。
だから、私もそれを越えようとはしない。
ただ、傍に居るだけ。
けれど、何があっても私は貴方の傍に居る。
それが友達を裏切ることになっても。
だって、皆は私じゃなくても誰かが居るけど、彼は独りだから。
これは私のエゴ。
貴方を救うことも許すことも出来ない私。
私は何て無力な人間なんだろう。
神でも仏でも無い私に唯一出来ること。
私は手を伸ばし続ける。
貴方の傍で。
そこは近くて遠い場所だけれども。
せめて最後の時が来る時まで。
私を貴方の、バクラの傍に居させて下さい。
(貴方のためならば、千回でもこの手を伸ばそう)
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