奇跡

この広い世界で貴方と出会えたこと。
それが一つ目の奇跡。

くだらない話をして、共に時間を過ごした。 偶に怪我をして帰ってくる4人に、手当てをしながら文句を言う。
もう戻らない、掛け替えの無い日々。

別れは突然だった。 告げられたのは『貴方が居なくなった』こと。
また会えると信じて待っていた。 けれど、訪れたのは最悪の結末だった。 貴方は、本当に居なくなってしまった。

私を置いて。



二度と会えないと思っていた。 でも、もう一度貴方と会えた。
これが二つ目の奇跡。

皆が口を揃えて『変わった』と言った。 昔の貴方はもう居ないと。 あれは鬼柳京介であって、そうではないと。 それでも、私にとっては何一つ変わっていなかった。

鬼柳京介は一人しか居ない。
だって、貴方は会いに来てくれたもの。 それだけで十分だった。

二度目の別れは覚悟していた。 再会した時、貴方が遊星達の敵として現れた瞬間から。


「もっと一緒に居たい」


決して口に出してはいけない想い。 辛いのは皆同じ、変わったと言っても鬼柳京介は彼等の仲間だった。 だから遊星は諦めなかった。 伸ばした手はちゃんと届いたよね、その気持ちも。 それでも、頬を伝うものを止めることは出来なかったけれど。

別れも言えずに二度と会えなくなってしまった。 そんな貴方にもう一度会うことが出来た。 二度と会えるはずが無かったのに。
もう、その先を望んではいけない。 貴方が居なくても、生きていける。 それだけのものを私は貰ったから。
そう、思ってたのに――



「こういうの、奇跡って言うのか?」
「………っ」
「今度こそ、もう会えないって思ってたんだけどな」
「わ、たし…だって、奇跡なんて、もう起きないと思っ……」
「二度あることは三度あるってな」
「…これから、一生分の運とか、全部、使い切った…かも」
「でもこれ以上に良いことなんて無いだろ?」
「……自惚れ」
「ったく、こういう時くらい素直になれっての」

三度目の奇跡は、貴方を還してくれた。 温もりも、鼓動も、全てを。 手に入らないと思っていたもの。

溢れ出る想いを込めて、貴方に最高の笑顔を。

「おかえり、京介」
「ただいま」


奇跡はいつでも直ぐ傍にある。


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