9.5 ご馳走になりました
「だからさ、大嵐とハリケーンとサイクロンはどれか1枚は入れるべきでしょ?」
「サイクロンはいらないだろ。場が一掃出来ねぇ」
「でも大嵐は自分の伏せカードまで破壊しちゃうし、ハリケーンは手札に戻るだけだから次のターンでまた伏せられるし、そうするとピンポイントで破壊出来るサイクロンの方が良くない?」
「表側表示のカードに限ってはな。あぁ、お前のデッキは魔法カードの発動が鍵だから一掃出来なくても良いのか。それならサイクロンで良いんじゃねぇの?」
「んーでもセットされたカードが2枚以上ある時にはやっぱり困るよね」
「ったく、お前は優柔不断なんだよ。大嵐とサイクロン、この2枚で良いだろ」
「あ、ちょ、待ってよ!」
「ていうかお前良い加減帰れ。今何時だと思ってんだ」
「9時過ぎ? 大丈夫、一人暮らしだから御飯までご馳走になっても誰も怒らないし」
「誰もそんな話はしてねぇ。なんでオレ様がお前の分の飯を作らなきゃいけないんだよ」
「えーでも了のは作るんでしょ? 二人分作っても手間は変わらないって、食費は出すからさ」
「良いから帰れ。お前だって明日も学校だろうが」
「何か……バクラに常識的なこと言われても困る」
「どうやら、てめぇはよっぽど俺を怒らせたいらしいな」
「はぁ、仕方ないなぁ。御飯食べたら帰るよ。それで良いでしょ?」
「良くねぇっ! 何で飯食べることが前提になってんだよ!!」
「だって、この部屋の家事全部バクラがやってるでしょ? 了にしては片付き過ぎだし」
「それがどうした」
「ということは料理もやってるってことで、あの了が下手な料理で納得するわけないから、きっとバクラの料理は美味しいんだろうなぁと推理したわけですよ」
「言ってろ。……残り物で適当に作るからどうなっても知らねぇぞ」
「やった! 誰かの手料理なんて久しぶりだから楽しみだなぁ」
「……人の気も知らねぇで、能天気な奴だぜ」