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「今日はハロウィンね」
「君の歳で仮装はどうかと思うが……」
「もうそんな歳じゃないことくらい私だって弁えてるわよ」
「ならその手の物はどうするつもりかね?」
彼女の手にはかぼちゃが一つ
「分かってるくせに。今年はかぼちゃのプリンでお願いね」
眼の前には見覚えがあるようで無い着ぐるみが居る
「何そのキャラ、怖っ! キモっ!」
「今日のバイトだ、名前は冬木くんだとよ」
「それでお菓子配る気? 子供は逃げるって。私も中の人がランサーじゃなかったら逃げてる」
「そこは一応喜ぶべきか?」
「ハロウィンか、私達には縁の無い行事ね」
「そうとも限らないだろう」
「まさか参加するつもり?英霊のくせに?」
「君に一矢報いる機会を俺が逃すとでも?」
驚いたようにこちらを振り向いた彼女の耳元で甘く囁く
「trick or treat?」
「Trick or Treat!」
「はい、どうぞ」
「ちゃんと持ってるんだ、残念」
肩を落とすその姿が可哀想に思ったのが良くなかった
「ギル君にだったら悪戯されても良かったかな」
「ふーん、言いこと聞いちゃいました。前言撤回は無しですよ?」
「どいつもこいつも浮かれムードでハロウィンだなんて、あれが時計塔の生徒か!?」
「降霊科でやっている者は居ないけれどね。貴方も本当は参加したかったんじゃないの?」
「僕にそんな暇は無い!」
「でも少しは休息も必要よ。はい、糖分」
「ハロウィンとは何でしょう?」
「その程度のことも知らぬのか」
「申し訳ありません」
「この我が直々に教えてやるのだ感謝せよ。我の言葉を繰り返せ」
命じられるままにその言葉を口にした彼女に返ってきたのは酸素を奪い尽くすような口付けだった